ホストーカー 【完】


ホストクラブ【Rei.】




真っ昼間にも関わらず今日も席は満席だった。


勿論、この日も俺は沢山の指名が入り朝から働き詰めだった。




「麗ぃ!愛してるよぉ~!」




べろんべろんに酔っているこの客はこれでも大企業の女社長。



俺の常連客はそういった職業の女達ばかりだった。


酒臭さとキツイ香水が混ざり合い何とも言えない悪臭に俺は一瞬顔を歪める。



しかし、直ぐに何時もの完璧な笑顔を作り女の耳元で囁いた。




「…俺も、愛してるよ。」




金の為なら甘い言葉をいくらでも囁やける。




「ボトル入れるからぁ。キスしてぇ~っ!」


「咲さんって…本当しょうがない人だよね。」


「だって麗がぁ、かっこ良すぎるからぁ。」


「本当、しょうがない…」


「ねぇ、早く頂戴よぉ。」




金の為ならキスだっていくらでもできる。




「ンッ……麗ィ…大好き…」


「少し、黙っててよ。」




そんな安い愛の言葉なんて要らないよ。



欲しいのは君じゃない。



いつだって、俺が欲しいのは…―



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