ホストーカー 【完】
【ClubRei】に向かう途中、無口なレオが珍しく口を開いた。
「口、緩んでますよ。」
「クスクスッ、そう?」
「そんな表情を浮かべていたら皆様にバレてしまいますよ。勿論、お客様にも。」
表情も口調も変えずに淡々と話しているが、レオなりにも注意を促しているのだろう。
「クッ…、美麗ちゃんさえ居れば何でも良いよ。」
「相変わらず、ですね。」
そして再び、沈黙が訪れその間俺はあることを思い出す。
「あっそうだ、引っ越しの手配しといて。」
「また、お引っ越しを…?」
「違う、俺じゃなくて美麗ちゃんのね。」
ミラー越しにレオと目が合う。
そして数秒置いて
「承知致しました。」
と、車内に声が響いた。