コンティニュー
大人用の大きい革靴。
お客さんかな。

うちは客が滅多にこない。

音をたてない様に、玄関のドアを閉め、靴を脱ぐ。

もちろん挨拶はしない
俺はこう見えて、極度の人見知りなのだ。
この人は大丈夫。と判断した人以外とは一切関係を持たないようにしている。

お客さんに挨拶なんかしなくたってゴハンを抜かれるわけじゃあるまいし、小学5年生にそんな義務はない。

全神経を集中し、忍び足で自分の部屋へ入る
ふぅ

俺が帰ってきて、まずすること。
パソコンの電源をいれる。
このパソコンは、今年の誕生日に例の"一生のお願い"を使って、父から買ってもらった。
俺の唯一の趣味。
何時間だってやっていられる。

実をいうと、ダイキに教えたゲームの攻略情報も最新ゲーム機の話も、全部ここからのお取り寄せなのだ。

学校でも、さも自分が発見したかの様に話す
「へー!ノブすげー!」
「え!?まじ!?」

「ゲームで、ノブ君にかなう人なんていないよ」

悪くない。

このパソコンのおかげでクラスの人気者になれる。

それより、腹へったぁ
気付いたらもう7時

「客帰んないかなぁ」


ガチャッ

玄関のドアが開く音がした。

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