とある夢追人の物語


私は諦めて、またレッスンを受ける。


嫌がらせは続いた。


耐えられなくて、嫌がらせの事を母親に話した。


「やめるの?」


「うん」


あっさり決めてしまった事かもしれないけど、続けていてもお金の無駄だと思った。

何が、自分の中で得られてるのかもわからなかったし。


ただ、嫌がらせを受けにいっている感覚だった。


社長さんは、
「本当にやめるの?残念だわ。もう決心した事なのよね」って聞いた。


私は頷く。


やめてほしくなさそうで私に光るものがあったのかも!!(笑)



そうは、思ってもなんか見栄を張る世界にはいれなかった。 気づいたら裏の仕事してたんだよね!

あ、スタッフみたいな感じで。


オーディションのポスター張り替えたり、次のダンスのセッティングしたり!


そこに入って気づいた。


自分で歌っている姿、形、声全てが売り物になる“アーティスト”って存在は

自分ともう一人の自分を作らなくてはならない。


そして、ダンスや歌う事をまるで他人のように見直していかなきゃならない。
(この歌い方じゃダメだとか)

ホントに誰でもできるような簡単な事とか
見た目や声や踊りや演技に才能がある人なら誰でもなれる…なんて甘い世界ではない。


事前の準備なんかなくって

いつも唐突。


毎日がアドリブのような環境。


それに対応する能力


そして、何らかの個性やトーク力


簡単な世界ではない。


実際に自分が立ってみないと感じない程の苦しさだよ。


一度テレビに出たらもう一般ではない。


有名になってブレイクしてしまえば当たり前の生活がズレてゆく。


その時まだ、私は“自分ならできるのに”って考えていた。

某アイドルがテレビに出ていたら

こんな事くらいできるよ!
それで大金貰ってるの?馬鹿みたいって


だから、一年ちょっと一切音楽を聞かなくなった。


でも今、思うんだ。
どんなに時間をかけて覚えた歌やダンスや演技でも。または簡単に覚えた物だとしても


スタッフやカメラ、他にも関係者がいる
その中で披露するのはどんなに自身があっても才能があっても難しい事。


それでも今、テレビの中にいる芸能人達はパフォーマンスをしている。


それが“仕事”であってもね。

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