誘う華
泣きつかれてしまったんだろうか…


気付くとあたしは寝ていたようだった。


「やだ…あたし寝てたの?さらわれたのに何で寝れんのよ…」


呑気に寝ていた自分に呆れてしまった。


それにしても、まだ進んでる…

一体どこまでいくの?





「やぁ、起きたみたいだね。随分野太い神経してるんだね。」


前からあの機械的な声がした。
バッと顔を上げて声がした方に目を凝らす。


「あなたが…犯人?!」


目の前には、小さな竜巻を足につけ浮いている少年がいた。

見た目は7歳位で緑色のでかいトンガリ帽子を被り、羽のない妖精の様ないで立ちをしていた。



「そうだよ。僕がやったの。…それにしても弱い玩具だったよね。」


「なっ!?玩具?ふざけないで!………目的は何なの!?」


「あーもう、うるさいなぁ…」

怪訝そうな顔をしながら頭を掻いたかと思ったら、すごいスピードで少年はあたしの顔間近まで顔をよせていた。
先程までの愛らしい顔とは違って、目が釣り上がり口も耳まで裂けていた。

「いいかい。無傷で連れて来いなんて言われてないんだ。……よく立場を考えなよ。」



そういって離れた時には、元の愛らしい顔に戻っていた。

あたしは、何も言えなくなってしまった。
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