竜王様のお気に入り
竜王様は迷いなく、自らの手の中に生け贄を掴む。


「ちょっとぉ!!」


胴体を鷲掴みにされて、大きな声で叫んでしまった巫女。


もがきながら、必死に抵抗する。


「違います!
私、巫女じゃないです。」


恐れ多くもバシバシと竜王様の真珠色の手を叩き、逃れようと叫ぶ巫女。


その巫女を、愛しそうに眺め、告げる白龍。


『我はこちらを貰おうか。』


有無を言わさず竜王様である白龍は、ゆっくりと天に向かって飛翔し、その荘厳な姿を人間界から消した。


「いやあぁぁぁぁぁ・・・!!」


こだまする声が、小さくなっていく・・・。


必死の抵抗も虚しく、連れて行かれたのはサツキ。


ではなく、隣にいたヤヨイであった。

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