竜王様のお気に入り
部屋に戻り、豪華な扉が閉まるが早いかヤヨイを抱きしめたハクリュウは、今の想いをどうぶつけていいのか、持て余してしまう。


「ヤヨイ・・・・・。」


狂おしい程の愛しさに、どうにかなってしまいそうな自分の感情を、ハクリュウは制御できない。


「どうしたの?」


優しく抱きしめられながら、ヤヨイは尋ねた。


「俺、どうしていいのか分からないよ。
こんな感情は初めてだ。
愛しさとは、こんなにも苦しいものなのか?
ずっとお前に触れていたいと、そればかりを思ってしまう。
ヤヨイのためなら俺は、どこまでも暴君になれるだろう。
ヤヨイは俺に、何を望む?」


きょとんとして、ヤヨイは小首を傾げ、ハクリュウが何故急にこんな事を言い出したのか、困惑しながらも、ポツリと呟いた。



「え?
私は何も、要らないよ?」


そう・・・ヤヨイはこうやって、ハクリュウの腕の中に居られれば、それだけで十分に満たされるのだ。


他に、何を望むと言うのか。


どこまでも貪欲に、麗しく飢えた若き龍は、やっと手に入れた愛しい姫を味わった。


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