竜王様のお気に入り
ハクリュウは、ヤヨイの隣に寄り添うように座ると、パタンと手の中の本を閉じた。


「あ~!
どこまでだったか、分からなくなっちゃったよ!」


ヤヨイは、突然閉じられた本と、閉じた犯人に抗議した。


しかし抗議を受けた犯人も、少し不満気だ。


「本はいいから、俺を見て。」


なんともワガママな理由で、ヤヨイの読書タイムを終了させると、ハクリュウは両手でヤヨイの頬を挟み、自分の方を向かせた。


「もっと他に、言うことはないの?」


ハクリュウは漆黒の瞳を揺らして、ヤヨイを見つめた。

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