竜王様のお気に入り
白龍は空中を泳ぐようにして、優雅にこちらに近づいてくる。


ヤヨイはもちろん、ちっとも怖くなかった。


この雄々しく凛々しい白龍が、優しく微笑むハクリュウだと、知っているから。


窓いっぱいに、白龍の巨大な黒い瞳が覗く。


「ハクリュウ・・・」


ヤヨイは、愛しい龍の名を呼んだ。


白龍は、静かに一度瞬きをして、ヤヨイに応えた。


そして、窓の縁に巨大な手を差し出す。


ヤヨイを見つめて、もう一度瞬きをした。


ヤヨイは頭の中に『乗れ』と言うハクリュウの声を聞いた。


声に従って窓枠を乗り越え、ヤヨイは白龍の掌の上に座った。

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