竜王様のお気に入り
「我はこのまま、儀式の場へ向かう。
イオリ。
ヤヨイの事はコウリュウから聞いておるな?
ヤヨイの言葉は我の言葉に等しいと心せよ。
それがどういう意味かは、言わずと分かろう?」


竜王陛下はイオリに、ヤヨイには逆らうなと言ったのだ。


それだけ伝えると、足早に目的の場へと去って行った。


回りくどく言われた事が逆に、イオリには重い言葉となってのしかかる。


イオリは大きく息を吐いて緊張を解いた。


立ち上がり、扉に目を向ける。


扉に手をかけて竜王陛下の部屋の中から、顔だけを出してこちらを伺う娘が居た。


コウリュウの言う通り、その娘の瞳は琥珀色に澄んでいた。


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