愛を待つ桜
「由美さん、どうしたの? 血圧が高めなんでしょう。ちゃんと横になってないと駄目ですよ」


あかねは何より由美の体を気遣う。


「匡さんが、この人とコソコソ会ってるから……私」

「変なこと言うなよ。キッチンでコーヒーを飲んで、兄貴の話をしてただけだよ。お前の方こそおかしいぞ。考えすぎだよ」

「私、聞いたんです! 匡さんはこの人に謝ってたわ。済まないって!」

「いや、それは……」

「あなただって答えてたじゃないの。もう終わったことだからいいって。それはふたりの関係がってこと? ねえ、匡さん、まだ付き合うつもりなの? この人に未練があるの?」


匡夫婦のやり取りに、あかねは意味が判らず目を丸くしている。

夏海は事情を説明しようとしたが、今の由美は彼女の気配だけで癇に障るらしい。


夏海には迂闊に動くこともできなかった。
それだけじゃない、3年前の匡の言い訳を信じている実光は、怒りに満ちた眼差しを夏海に向けた。


「匡! お前まさか、まだ夏海さんと……」


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