愛を待つ桜
3年以上の間、彼女を憎み恨み続けた。妻にした後も、心の底ではいつも彼女の裏切りが燻っていた。


『大丈夫だ、信じて欲しい、君を愛している』


そう言って23歳の夏海から何もかも奪い取ってしまった。

挙げ句の果てに、弟のその場しのぎの嘘を真に受け、彼女を捨てた。


そんな男が、身持ちの悪い母親のせいで息子に貧しい思いをさせた、と彼女を責めていたとはお笑いだ。


大事にされる由美を見て、夏海はどれほど辛かっただろう。

同じ大きなお腹を抱え、陣痛で苦しんでいたとき、頼るべき男は他の女と盛大に結婚式を挙げていたのだ。


(お前の罪を悠が背負うことになる、だと? 全部、俺の罪じゃないか!)


これまで受けた報いなど、犯した罪の重さに比べれば微々たるものだ。

知らなかった、で許されるものではない。土下座のひとつやふたつで勘弁して貰おうなんてムシが良すぎる。


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