愛を待つ桜
「聡さんがね……浮気してるのかも知れない」


12月はじめ、夏海が聡と結婚式を挙げてちょうど1ヶ月が過ぎた頃のこと。

最近は、メトロハットのデリ&カフェで日替わりランチをテイクアウトし、お茶を淹れて事務所で食べる、というのが夏海と双葉のお気に入りであった。

今日も2人でランチを食べ、双葉から「どう? 本当の新婚生活は?」と聞かれた返事がこれである。

双葉は一瞬ポカンと口を開けて、


「はぁ? まだ1ヶ月じゃない。ないない、あの一条くんに限って」


そう言った後、声を立てて笑った。
 

夏海も気のせいだと思いたい。

でも、昨夜、聡の上着から落ちたクレジットカードの使用明細書は普通の額ではなかった。なんと、ゼロが6つもあったのだ。その前の数字は怖くて、とても夏海には見ることが出来なかった。

そのことを夏海が話すと、双葉は軽く笑う。


「もうすぐ悠くんのバースデーじゃない。そのプレゼントじゃないの?」

「最低でも100万以上よ。子供の誕生日プレゼントに使う額じゃないわ」

「じゃあ……なっちゃんへのクリスマスプレゼント!」

「早すぎない? それに、それだけじゃないの……」


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