愛を待つ桜
悠の背中が汗でびっしょりになった時、


「怒らないで聞いて頂戴ね。……あなたたちに、弟か妹が増えることになっちゃった!」

「いやあ、父さんも驚いたんだが。今度は母さん似の娘か息子が欲しいなぁ」



(……なんか……真剣に悩んでた僕が馬鹿みたいだ)


父は車から降りる時に色々準備をしていたのだろう。

リビングのフランス窓から庭に出て、大きなピンク色のバラの花束を抱えて戻って来る。


「私に宝物を増やしてくれる、夏海に……」 


とか何とか言いつつ母の頬にキスしている。

そんな両親を見て、小学生の弟妹は無邪気に喜んでいた。


(ヤッパ、恥ずかしい親だ)


複雑な思いで見ながら……。

いつか好きな子が出来たら花束を贈ってみよう、そう心の隅に書きとめる悠だった。



               ~fin~ 

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