藍に染まる
▼後、一歩

名前、呼んで






「もう少し、上手く鳴くことはできないんですか?」



「……っ。もっ、もう、無理…ですっ」



 私が上げる悲鳴に彼がクスリと妖艶《ようえん》に笑う。




「……っ」



 その笑みに私が弱いことを知っていてわざとするから性質《たち》が悪い。



「…その顔、誘っているんですか? ……赤ずきんちゃんもやるようになりましたね」


 クスクスと笑いながら彼はそういうと、すっと目を細めて私を見つめてくる。




「狼、さんは、……狡いっ!」



「“狡い”、ですか? 俺からしたら、結構甘いほうなんですけど、ね」



「……っ(そんな、こと、思ってもいないクセに)」



< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop