ラブ・パニック【短編】
しかも、今二人が乗りたいって言うジェットコースターは1番始めに乗ったもの。
面白いからもう1度なんて、信じられないよ。
「とにかく、俺と里緒ちゃんは見てるから、二人で乗っておいで」
しつこく「一緒に乗ろう」と迫る二人をジェットコースターへと送りだし、あたしと柚木さんはジェットコースター乗り場の近くにあるベンチに腰掛けた。
「あいつら、よく平気だよなぁ」
「ホントに」
あたしなんて、恐すぎて、ジェットコースターでは目をつむってしまう。
地面や池にぶつかりそうな勢いで落下したり、視覚的な恐さもあるみたいなんだけど、あたしには堪えられない。
でも、東くんはその恐さを楽しんでいるんだよね。
しばらく柚木さんとジェットコースターの恐さについて語り合ったりしていたが、急に沈黙が訪れた。
(困ったな)
東くんと付き合っているとはいえ、まだ好きな人は柚木さん。