ひとつぶのナミダ
001 18歳

大人の喫茶店


「もうすぐ、卒業だな」



カタンッ…



ほろ苦い匂いがする喫茶店。



音を立てて元の位置に戻るコーヒーカップ。



少し尖った革靴。



光沢の入った綺麗な背広。



袖から見えるパワーストーン。



…少しチャライ髪型。



「うん」



この人に近付きたくて背伸びして
付けてきた淡い色のグロス。



大人に見られたくて頑張って
買った赤色のコート。



女として見られたくて
綺麗に巻いたロングの髪。




「今日はどうする?」




この関係、いつまで続くのかなー




「言えよ。気持ちいいですって」


「気持ち…い…い…です」



鼓動が高鳴る。



「聞こえない」



冷静な目で、額に汗を滲ませ、彼は私に命令した。



「ハァッ…ハァッ…」



絶対に好きだと言わない。



だけど、体は求めていた。



彼が欲しいと。




高村 柚希 18歳
明日から私は風俗嬢になります。
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