ひとつぶのナミダ

ーまた朝が来た。


「はぁ…」


下着を持ち、お風呂場に向かう。


「ゆずちゃん、また朝から」



「あ、おはよ。きのう寝ちゃったから」



パタン



扉を閉めて、鏡を見つめる。



「悪くないはずなんだけどなー」



自分の顔を見つめて、毎朝自分に可愛いと言い聞かせる。


前にテレビでそう言えば可愛くなるって言っていたから。






「ゆずちゃん、シャツ置いておくからね」



「はぁーい」






綺麗に畳まれたシャツを見て、もう母親にシャツをたたんでもらう回数が残りわずかなんだと少し寂しくなった。




部屋に戻り、制服を着て、朝食を食べる。




美味しいとは言えない母の味。




だけど、これが美味しいんだ。





「最近、バイト行ってるの?」



「あ!!そうだ。会社、20日から研修らしいからこれ、おいておくね!じゃっ」



何かを隠すように私は急いで家を出た。




言えるわけない。



バイトだと言ってあいつに会っていたなんて、絶対言えない。






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