ランデヴー
このミーティングは経理部と他部署も合同の会議で、新しい精算システム導入の説明会だった。
私と倉橋君は担当者ということもあり、当然参加しなければならない。
一応部署ごとに日にちが分けられてはいたものの、今回だけでもかなりの人数で埋め尽くされていた。
1時間少々のミーティングが終わると質疑応答の時間が設けられ、用のない人達は散り散りに自分の部署へと戻って行く。
私は小原さんを捕まえて少しの雑談を交わした後、倉橋君と空いている会議室へと移動することにした。
狙っていたその場所は予約はしていなかったものの、小さめで窓がないのであまり人が使いたがらない部屋だった。
加えてこの中途半端な時間に使用していないということはしばらくは誰も来ないだろうと予想して、入り口のボタンを『使用中』に変えて中に入る。
扉のすりガラスの部分から見えないように壁際を奥へと歩いていくと、倉橋君も素直に後をついてきた。
立ち止まり後ろを振り返ると、背の高い倉橋君がその二重瞼の瞳をぱちくりとさせて私を見下ろしている。
ついそんな倉橋君の唇に目が止まってしまい、あの日のキスを思い出して微かに胸が高鳴った。