ランデヴー





「夫と私は、大学のサークルで知り合ったんです。彼が登山のサークルに入っていたのはご存知ですか? 『Mount Legend』というサークルなのだけど……」


「……はい」


サークルの名前までは知らないが、陽介がこの前話していたことを私は思い出していた。


響子さんはそんな私の様子を見て小さく頷くと、話を続ける。



「夫は、当時私の友達と付き合っていました。ものすごく綺麗な子で……何度も告白してやっと付き合ってもらえることになった、って。その時は大騒ぎでした」


陽介の学生時代の恋愛話……。


それはまるでパンドラの箱のような……何か見てはいけないものを見るかのような、やましい気持ちを私にもたらした。



だが私は一言一句聞き漏らさないように、響子さんの話に耳を傾ける。
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