ランデヴー
どれ程の時間、そこでそうして過ごしていただろうか。
トイレでぐったりとしていた私の耳に、人が尋ねて来たらしいインターホンの音が微かに聞こえてきた。
何度かしつこく鳴らされていたそれは、しばらくしてシーンとした静寂に変わる。
私はもぞもぞとトイレから這い出すようにして洗面所へ行くと、なけなしの力を振り絞ってうがいをした。
多少の爽快感を得て壁を伝いながらキッチンに戻り、足元を散らかす空き缶を掻き分けて冷蔵庫の扉を開け放つ。
そしてミネラルウォーターを取り出し、その辺にあるカップの中になみなみと注ぎ入れた。
だが――。
ふとそれに口を付けようとして、思わず胸がぶるりと震えた。
陽介とお揃いで使っていたカップ……。
不意に懐かしさが胸を過ぎる。
思えばこの場所で陽介に激しく求められたこともある。
一緒に料理をしたことだって……。