スパルタンコード
「ちょっと外の空気を吸いにいきますので……」
無理やり理由をつけ、会場を出る。


ようやく作り出せた、安らぎの時間……。





でも、外の様子は変だった。

いま思えば、この瞬間、私の運命が変わっていたのかもしれない。







ホテルのロビーは、警官で溢れていた。


「あれ、紗英ちゃんじゃん」
気さくに私に声をかける人物。
たくさんいる警官の中で、数少ないスーツ組。
体型、顔、声、全てがコメディ俳優っぽい人物。

母の知り合いで、警視庁の警部である、因縁 鋭利(インエンエイリ、と読む)だ。




「いやあ紗英ちゃん、大きくなったね~。
どうしてここにいるんだい?」
「母の代理で、出版社のパーティーに……。
なにかあったんですか?」


この鋭利警部、警視庁エリートらしいのだが、鼻につくエリートぶったところはなく、人情刑事……というより、かなり砕けた性格で、とっつきやすい。
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