SWEET HOME
「いってらっしゃい」


胸元で小さく手を振ると、


「いってきます」


照れたような顔をするのは、1年前から変わらない。


彼の気配が玄関の向こうに消えても、あたしはしばらく閉まったドアを見つめていた。


いつ気づくかな、あたしからのサプライズ。


驚く顔が思い浮かび、自然と笑みが零れてしまう。


幸せにも似た余韻が残るその場所から踵を返し、


彼のいない時間を過ごす為シャワールームへと向かった。



―――










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