琥珀色の誘惑 ―日本編―
「先日は失礼いたしました――」


そう言うとターヒルは意外にも謝罪を口にして頭を下げた。

どの件についてか微妙だが……。

舞が調べた限りでは、ムスリムは教義により謝らないと書かれてあった。
皿を割っても「その皿は今日割れる運命だった」と言うそうだ。

だが、舞のために日本の習慣に合わせてくれているのかも知れない。

ターヒルの達者な日本語といい、ひょっとしたら……と考えてしまう自分は諦めが悪いな、と舞は思う。


「あの……アルは国に帰るんですか?」

「はい。殿下は帰国の準備に入られました。他言は無用に願いますが……国王陛下がお倒れになりました」


道理で、ターヒルの顔も曇っているはずだ。


「国王様のご容態って、そんなにお悪いんですか?」


おずおずと尋ねる舞に、ターヒルは視線を下に向けながらクアルン王室の内情を話し始めたのである。


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