琥珀色の誘惑 ―日本編―
四歳年上の従兄である当時の王太子が、ヨットの事故で急逝した。

国王のひとり息子という立場を悪用し、かなり奔放で女性問題も山のように起こしていたという。
でも結婚はしておらず子供はひとりもいなかった。
ようするに、直系が途絶えたのだ。


ミシュアル王子の伯父にあたる当時の国王は六十七歳。
……にも関わらず、なんと二十代の側室まで後宮に入れて男子を産ませようとした!

でも、子供には恵まれず。
ひとり息子が亡くなった一年後に脳溢血で倒れ、その二年後には還らぬ人となってしまう。


そして王位は弟であるミシュアル王子の父親に移る。


ということで、明確に彼の立場が変わったのが今から五年前――王太子になった時だ。

亡くなった従兄に比べて、ミシュアル王子は不本意な女性問題など起こしたこともない。
すこぶる厳格な性格で、シークとしての立場を重んじ、年に数回部族と共に砂漠で生活する。
それでいて、与えられた財産を確実に増やす実業家としての顔もあった。


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