琥珀色の誘惑 ―日本編―
「ねぇ舞、せっかくの初合コンでしょ? どうして“あの”スカート穿いて来なかったの?」


星合桃子(ほしあいももこ)は小首を傾げて舞に尋ねる。


(可愛い仕草が似合うなぁ)


桃子を見ながら舞はそんなことを考えていた。


桃子の身長は一六〇センチちょっと。
細くて華奢な脚、力を入れたら折れそうな腰や肩……柔らかい髪を茶色に染め、クルクル内巻きにしている。

本人は丸顔に低めの鼻、小さい唇がコンプレックスだと言うが……。

舞から見たらまるでフランス人形のように可愛らしい。


「ん。家でじっくり鏡を見たら……なんか全然似合わないなぁと思って」


三日前のこと。
合コン用に、と桃子がスカートを見立ててくれた。

ヒップラインがくっきり浮かび上がるマーメイドラインのタイトスカート。ホワイトに近いアイスシルバーで、ライトにきらきら煌いていた。

制服以外にスカートなんて滅多に穿かない。
そんな舞にとって、合コンと同じくらいドキドキの買い物だった。


でも……今日も結局パンツルックである。


「舞、いい加減にやめなさい。でなきゃ、モデル並の体型が宝の持ち腐れよ」

「モデルにこんなデブはいないって」

「ウエスト六〇センチのデブはいないわよ」

「男役やるには便利だけどね。肩パットがいらないし」

「はいはい。もう好きにしなさい」


桃子は呆れた口調だ。


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