琥珀色の誘惑 ―日本編―
「またそう言う……。彼氏が欲しいなら、もっと積極的に動きなさいね」

「いいよ……別に」

「こないだの合コンだって、自分から話し掛けないと。どっちにしても舞は自信なさ過ぎ!」

「そりゃ、桃子くらい可愛かったら自信もできるだろうけど……。デカくてゴツい女なんか、女の部類に入らないんだってば」


舞以上に背が高く、立派な体格をしていて、彼女を女の子扱いしてくれる男性なんて……その辺に転がっているはずがない。


(あの王子様くらいだったかも知れないなぁ)


舞の中でミシュアル王子は過去形になりつつあった。


「じゃあ、このプリンス・シークで手を打てば?」

「なっ、なんで、じゃあになるわけよっ!」

「だって……パンフに書いてあるじゃない。『身長一九二センチで王族一の長身を誇る……』って」 


パンフレットは舞も舐めるように見たはずなのに、何処にも書いてなかった気がする。

それとも、


「桃子って、アラビア語が読めるの?」

「そんなの読めるわけないじゃない。三ページめに書いてあるわよ。ほら」



差し出されたパンフレットには、次期国王の簡単なプロフィールが載っていた。

舞は彼の写真ばかりに気を取られ、三ページ以降があることに気づかなかった。


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