琥珀色の誘惑 ―日本編―
道路を横切り、片手を挙げながら三人の男が舞らのテーブルに近づいてくる。


(え、わたし? ……誰?)


思い出すのに、舞は十秒ほど掛かった。

見覚えがあると思ったら、例の“バースデー記念初合コン”に参加していた三人だ!


(さ、最悪のタイミングだわ)


クアルンに“合コン”があるかどうかは判らない。
でも、中途半端に日本のことをよく知っている王子だ。
“合コン”の言葉が持つ印象は、とても清楚や厳格なイメージとは程遠い。

もし、ミシュアル王子に誤解されたら?

そこまで考えて、舞は自分が彼の機嫌を気にしている事実に突き当たり、困惑した。


(そんなんじゃない! 予測不能の男だから、心配なだけだってば)


舞は自分に必死で言い訳をする。


そんな舞たちに、三人は軽く声を掛けた。


「やあ、舞ちゃんと桃子ちゃんだよね。一緒していいかな?」

「駄目だ。立ち去れ」


それは、舞い散る桜の花びらすら、一瞬で凍りつくようなミシュアル王子の声であった。


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