この男、偽装カレシにつき
ちょっとしたミステイク
季節は秋。
肌寒くなって、防寒具が手放せなくなってきた今日この頃。
私、こと成海チエは今、(私)史上最大のミッションに挑もうとしていた。


時刻は午前8:20。
都立高校の最寄りの駅のホーム、3号車乗降口付近。


待ち伏せしていた青いラインの電車が、ブレーキを効かせてゆるゆるとホームに入ってくる。


扉が開くまであと少し。
3…2…1…。


プシュー!
気の抜けた音と共に扉が開き、電車の中から気だるげな学生たちがわらわらと降りてくる。


私はその中に、見つめ続けて柄までしっかり覚えてしまったグレーのマフラーを見つけると、それがくるりと巻かれた学ランの裾を掴む。
そして頭を下げながら言った。


「ずっと憧れてました!
付き合って下さい!!」
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