この男、偽装カレシにつき
だけど。
並ぶ要員とは言え、やってることはデートみたいなもの。
連れてきてもらえて幸せを感じてしまう私は、相当センパイにまいってるみたいだ。


しかもこの長蛇の列に並んであげるなんて。
私って結構尽くすタイプだったのね。


「―――遅い」


チョコとイチゴのジェラートを抱えて戻った私の顔を見るなり、橘センパイは不機嫌そうに一言。


「仕方ないじゃないですか、人気店なんだから」


今日なんかまだマシな方。
この前純ちゃんと来たときはこの倍近く待ったもん。


しかもセンパイってば、私が並んでる間ずっとベンチに座ってただけのクセに!


「文句言うなら食べないで下さいよ」


私が言うと、センパイはべーっと舌を出してチョコの方に手を伸ばした。
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