この男、偽装カレシにつき
「もういらない」


センパイはそう言って、まだ半分以上残ってるジェラートを私に突きつけた。


「え?」


私は驚いてセンパイを見る。
残りをくれるなんて雨でも降るんじゃないの?
傘持ってないから困るじゃん、…じゃなくて。


「いいんですか?」


「こんな邪道なもん、食べられるかよ」


まだ言うか!
イチゴもおいしそうに食べてたクセに!
ハイハイ、次は王道のチョコにしてやりますとも。


なんて。
どうせ嘘でしょ?
どうせ、私が落としたからくれたんでしょ?


文句の裏に実はセンパイの分かりにくい優しさが隠れてることくらい、このチエ様にはお見通しなんだからね。
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