この男、偽装カレシにつき
「好きだよ。
絶対、大切にする」


大野センパイが私をぎゅっと抱きしめる。


ああ。
そういえば私、一度もアイツから好きだなんて言われたことなかった。


百戦錬磨の女タラシがそんなセリフを吐くくらい簡単なくせに、そういうとこ正直なんだから。


そのくせ、抱きしめるのもキスも優しかったりしてさ。


あんなヤツ。


あんなヤツ…。


悔しいケド、まだ忘れらんない。



ねぇ、橘センパイ。


お願いだから、浮気相手なんてポジションで満足しないで。
早いとこ雪乃さんのこと彼氏から奪って、上手くいっちゃって。


せっかく身を引いた私の思いが報われないなんて、そんなのせつな過ぎるから。
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