この男、偽装カレシにつき
理想のカレシ
お正月。
朝からテレビはおめでたい番組一色にも関わらず、お父さんはご機嫌ナナメ。


お母さんに晴れ着を着付けてもらった私を横目で見ながら、


「毎年、家族で行ってたのに」


なんてブツブツ文句を言ってる。


「だから、ごめんってば」


お父さんの機嫌が悪い理由は単純明快。


私が初詣に生まれて初めて家族以外の人と行くから。
しかも相手がカレシだから。


ピーンポーン。
インターホンが鳴り、お父さんの機嫌と対照的に、私の胸の高鳴りは急上昇。


ごめん、お父さん。
カレシへの愛情の方がはるかに大きい親不孝な娘を許してね。


「あけましておめでとうございます」


私は玄関の外に立つカレシに向かって笑顔で言った。
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