この男、偽装カレシにつき
そうだ。
今朝、お父さんに見つかったせいでキスが未遂で終わったんだっけ。


てことは。
もしかして、別れ際に今度こそキスされちゃったりして。


ドキドキドキドキ。
センパイを前に、緊張がマックスに達したとき。


「じゃあ、お休み」


大野センパイはそう言って、繋いでいた手を離した。


あれ、キスしないの?
何だ…。


って、はっっ!
まだ付き合い始めて一週間。
ノーマル恋愛はそんなに簡単に進展しないっつーの!


乙女のバイブル、少女マンガで学んできたってのに。
私ってば、いつからこんなにせっかちに!!


門限の5秒前。
私は大野センパイにそんな気持ちを悟られないように、慌てて玄関へ滑り込んだ。
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