ギャルバン!!! 2nd The Re:Bandz!!!!
12. Low and wet.
 うだるような残暑も一段落した9月も終わりを迎える頃。





ウチはいつものようにネオミィのイベントのミーティングで呼び出された。





レコーディングの夜に声が出なくなったエル。





私達のオリジナル曲の歌入れは終わっていたけれど、オファーを出したプロデューサー達にはすぐに連絡がされ、後日に歌の録音を行うということで今回はデビュー自体も延期になってしまった。





楽器の演奏だけでも録音できたはずだが、きっとまだかけ出しの私達が録音したところで、後からもっと上手い影のプレイヤーが私達の代わりにレコーディングをするんだろう。





「そういう世界なのよ」





冷房の所為で冷えきった真っ白な腕をさすりながらネオミィは言い捨てた。





「名もなき名プレイヤーが最高の音楽に仕上げてくれる。それを我が物顔でリリースしてるヤツが大半よ。そうじゃないヒトもいるってのも事実だけど」





冷め切ったティーカップからミントティーで唇を濡らす。





「もちろん私は後者よ。アナタ達ラズルの音楽はライブでこそ真価を発揮すると私は思ってるし」





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