王子様は囚われ王女に恋をする
「離してっ」

兵の腕を振りきると、両親の亡骸へ駆け寄った彼女は
血で汚れることも構わずに2人を抱きしめた。

「お父様っ、お母様っ…
私をおいて行かないで!」

泣き崩れるアリシアを立たせようと腕をつかんだ瞬間
カイルは手を振り払われた。

「…触らないでっ」

強い拒絶の言葉に一瞬ためらいが生じ
その隙をついたようにアリシアに腰の短剣を奪われてしまった。

「どうして?なぜ攻め込んできたりしたの?!」

アリシアは剣を向けたまま
憎しみの満ちた目で睨みつける。

「友好関係にあったはずでしょ?!
なのにどうして…っ」

兵士たちがアリシアに剣を向けようとするのを制して
カイルは彼女に近づいた。

「短剣を渡すんだ」

「イヤっ。この場であなたを殺して私も死ぬわっ」

緊迫した状況にも関わらず
その姿から目が離せなくなる。

腰まで届きそうなプラチナブロンドの髪に
エメラルドグリーンの瞳。

白い肌がより青白く人形のようだ。

「短剣を渡せ。君を傷つけたくない」

その言葉にアリシアは冷たい眼差しを向ける。

「傷つけたくない?よくもそんなことをっ」

剣を持ったまま向かってくる彼女をかわして
仕方なくみぞうちを突く。

声もなく崩れ落ちるアリシアを見て侍女が半狂乱に叫んだ。

「アリシア様っ!」

「心配いらない。気を失ってるだけだ」

カイルはそう言うと
ぐったりとしたアリシアを抱きかかえた。

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