王子様は囚われ王女に恋をする
ベンチに座ったアリシアは、カイルの表情が少し堅いことに気がついた。
「カイル様?」

首をかしげるアリシアをまっすぐに見てカイルは口を開いた。

「君に話があるんだ」

「はい」

アリシアもカイルをまっすぐに見つめ返す。

「つらいことを思い出させるかも知れないが、聞いてほしい」

アリシアは黙ってうなずいた。

「半年ほど前、僕は君のお父上から手紙をもらったんだ」

思いもよらない話にアリシアが目を見開く。

「その手紙には、メルディアンで謀反の企みがあるらしいと書かれていた。お父上は周りに裏切り者がいると考えていたんだ。だから僕に内密に調べてほしいと」

「…なぜ、カイル様に?」

カイルはアリシアの震える手を握る。

「お父上とはずっと連絡を取っていたんだ。小さい頃お世話になってからずっとね」

カイルの言葉に耳を傾ける。

「僕はすぐに密偵を送り、メルディアンの内情を探らせたんだ」
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