失恋ショコラ【短】
あたしは篠原の言葉に目を見開きながらも、無意識のうちに後退り続けていて…


「キャッ……!?」


不意に足に当たったソファーに躓(ツマズ)いて、そのまま体が後ろに倒れていった。


その最中(サナカ)で、篠原の意味深な笑みと落ちて来る生チョコを視界に捉える。


そこでようやく、彼によってここに追い詰められていたのだと言う事に気付いた。


倒れ込む寸前の所であたしの後頭部に手を添えた篠原のお陰で、辛うじて頭を打つ事からは免(マヌガ)れたけど…


彼に組み敷かれた状態なんだとすぐに把握し、いっそ頭を打った方が安全だったのでは無いかと思った。


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