失恋ショコラ【短】
彼は絶大な人気を誇る作家、『篠原櫂(シノハラカイ)』。


篠原の処女作である純愛物の作品が大きな賞を受け、あまりの人気振りに翌年には異例のスピードでドラマ化までされた。


当時、まだ二十歳(ハタチ)だったあたしも例外無くその作品を読んで感銘(カンメイ)を受け、次々と出版された彼の作品達の虜(トリコ)になっていった。


大学卒業後に出版社に就職してから1ヶ月後、篠原の担当者だった先輩に連れられてここに来た時には、憧れの作家に会えた喜びでいっぱいだった。


だけど…


あたしが抱いていた憧れの像は、それから1ヶ月もしないうちに崩れてしまったのだ――。


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