失恋をした君と私の恋


☆沙羅side


「ごめんなさいねっ
あの子ひとりで大丈夫だ
って言うんだけどね…、
やっぱり不安でっ。」

「大丈夫です♪」

私に話しかけているのは
敬斗のお母さん。
私は今、敬斗の家にいる。

敬斗のお母さんから
「敬斗の看病を…」
って言われて来た。
敬斗の病状は昨日より悪化。
でもお母さんは用事があって
側にいれないらしい。
昨日よりも悪化した敬斗に
もしかしたら、
私のせいかもしれない。
そんな罪悪感もあった。

「じゃあお願いね?」
「はーいっ♪」

バタンと扉が閉まった。
私は、敬斗の部屋に向かった
ガチャ…―。

「敬斗?」
「沙羅?なんで……あぁ」

私がいる理由を察したのか
「悪いな」と言ってきた。

「私も今日予定ないし♪」
そう言って敬斗の側に座る。

「うつるぞ?離れとけ」
そんな敬斗に
「治らないぞ?寝とけっ」
そう笑いながらかえした。

「あいつも沙羅じゃなくて
涼太とか呼べばいいのに、」

「どおゆう意味よっ」

少し睨みつけながら言うと
敬斗は微笑んで
「うつったら大変だろ?」
と言って、私の頭に
手をぽんっとのせた。

かぁーっと顔が赤くなる。

「だ…だめよっ涼太はっ!!
涼太、今日は奈々と
遊びに行くんだものっ…」

涼太の名前を出すと、
告白されたことを思いだし
急に悲しくなった。

「は…?2人で?」

「えっ…うん。」

敬斗の顔が険しくなって
私はどこか焦っていた。

「け…敬斗?」

呼んでも敬斗は、
何かを考え込んでいて
気づいてくれない…。

「ねぇ…敬斗。」
「…何?」
「奈々が好きなの?」

声が震えてしまう。
ただ求めていた。
ちげーよ。って笑う敬斗を。
でも……。

「あぁ…」

求めていたものも儚く散って
頭の中で描いていた
敬斗の笑顔はどこにもなく。
ただ悲しく微笑んでいる
そんな敬斗しか見えなくて…

「そっか…。」

それぐらいのことしか言えず
ただ下を向いていた。

ピピピピ…ピピピピ。

熱を計っていた体温計が鳴る

「熱も、下がってきたし
私…ごめん。帰るね?」

「あぁ。」

私は立ち上がり扉に向かう。

「キッチンにお粥あるから」

そう言ってから扉をしめた。
バタン…――。

「うぅっ……。」
涙が止まらない。

片想いって分かってても
どこかで期待していた。
もしかしたら…―。
そう思っていた。

私の恋は儚く散った

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