主婦だって恋をする

「……いや、最近は会ってなかったですけど。最後に会ったのは確か二週間くらい前の……」


「27日の夜、ですよね。遺体が見つかったのは今朝ですが、死亡したのはその日の未明です」



刑事が俺と涌井さんが会ってた日をぴたりと言い当てたことより、その夜に彼女が死んだということに俺は驚きを隠せなかった。



「何か思い当たることとか、その時の彼女の様子なんか署の方で聞かせてもらえますか?
彼女のご両親も聞きたがってるんで……」



言われるがままに刑事に連れられてパトカーに乗った。


警察署に着くまでの間、俺はずっと同じことを頭の中で繰り返していた。



俺は……あの夜……

どうして気づけなかったんだろう。


涌井さんの……

助けて、のサインに……


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