主婦だって恋をする

「――大丈夫?」



ゆっくりと一番後ろの座席まで
歩いていくと、夫は一つながりのシートを占領して真っ赤な顔で横たわっていた。



「……なる、み?」



薄く目を開けて私の名を呼ぶ声は熱い吐息混じりで、彼の熱の高さを物語っていた。



「朝よりつらそうね……」



手のひらで頬に触れると、私の中の水分が蒸発してしまうんではないかと思うほどに火照っていた。



「みんなと行ってこいよ……」


「行ける訳ないじゃない。こんなに辛そうなあなた残して……」



彼の少し汗ばんだ額にはりつく前髪を避けてあげながら言った。



「……ごめん、色々気を遣わせて」


「別にいいわよ、これくらい。あんまり喋ると熱上がるわよ?」


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