Colorful Memory
だから、そんな架衣に

『君、―――誰?』

そう言われた時は、さすがの私も
…ショックを隠せなかった。


そう、架衣は私を忘れてしまった。

日課になりつつあった、私を送った帰り道に…事故にあって。


警察の話では、轢き逃げだったらしい。

正面衝突じゃなくて、軽く当たって 架衣は電柱に頭をぶつけたみたいだ。

それで、記憶喪失。
しかも、忘れたのは私だけ…



―――笑えない。



だけど、顔も表情も 確かに架衣のもので。

私の顔色が余りにもひどかったのか

『ごめん…思い出せなくて』


謝る時の、眉を下げる癖もそのままで。

あぁ…これは架衣なんだって思ったら、涙が溢れた。


あぁ今私、普通の可愛い女の子みたい。


< 5 / 21 >

この作品をシェア

pagetop