バレンタイン・キッス
明らかに機嫌が悪い川村の様子。
でもきっとこれ以上聞いても答えてはくれない。

「…じゃあ、また明日ね」
「…ん」

いつもならここですんなり分かれる。
でもなんだか今日はぎこちなくて帰る足が止まった。

さっきからずっと無言だし、雰囲気悪く感じる。
気まずいなぁ。

シンと静まった暗道のど真ん中で、どうしたらいいものかと考えてるとふいに川村に呼ばれた。


「…あのさ、さっきも言ったけど。
あんま隙見せてんなよ」
「隙なんか…」
「もっと警戒心持って」


強く言われて言葉に詰まる。
そんな怖い顔で言わなくてもいいのに。
いつもの川村じゃないみたい。

シュンと落ち込んでると川村は小さなため息をついた後、私の前に立ち止まった。

そしていきなり髪がぐしゃぐしゃになるくらい掻き回された。

「わっ…なにするのっ?」
「佐藤いじめていいのは俺だけだから」

ちょっと意味がわからない。
さっきの話と何が繋がりがあるっていうの。


ズボッと着ていたフードを深く被らされ、握られた手。
何が起きてるかわからない中で、おでこあたりに何かが当たった気がした。

「もうっ!なにするの!」
「じゃ、また明日な。風邪ひくなよ」

フードをとって川村の方を向くともう歩き出していた。

本当になんなの。
怒ったり、心配してくれたり。

同じ時間を過ごしても君のことは分からないことだらけ。

おでこにキスをされたのを、私は知ることはなかった。
< 21 / 21 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ウブ恋ー君は照れ屋なヤンキーくんー

総文字数/11,021

恋愛(ラブコメ)24ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
好きで好きでたまらなかった 彼に片思いをして2年目の夏。 ついに実った恋。 ちょっと思い描いていた 恋愛とは違いました。 **************** 『椿くん、あたしのこと好き?』 相田 百合 × 河野 椿 『…え、あ、あの…す、きだけど』 **************** 意外な彼の一面を知った キラキラした恋。
シュガーレス・キス

総文字数/21,854

恋愛(その他)49ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『私、ハル』 そう、それは突然に。 目の前に現れたのは セーラー服を身にまとった 美少女の幽霊だった。 ************ クラスの問題児 美少女幽霊 ************ 『私と恋、してみませんか?』 キミとの恋。 期間は クリスマスまでの20日間。 俺は何を見つけ 何を愛せるだろうか。 ―――今はいない彼女との 不思議な恋愛をした俺の話。 ※只今修正中※
君は僕を好きになる。

総文字数/10,725

恋愛(学園)29ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
何の接点もなかった僕たち。 たった小さな出来事が この関係を大きく変えたよね。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 地味なメガネ男子 高城 景 × オシャレな一匹狼女子 平岡 茉美 ・・・・・・・・・・・・・・・ 不器用で焦れったくても いいじゃないか。 「君は、私を好きになるよ」 僕たちなりに 歩みよってみようか。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop