カラフル。




そして翌日。

私はいつものように雑務をこなしていた。


「下原さん!電話」

「…?はい」


私にめったに電話なんて掛かってこないのに、何かしでかしたか…と思って受話器を握る。


「はい、下原ですが」

『下原さん、急に申し訳ございません。昨日お邪魔したKEQの梶谷です』

「…何の用ですか?仕事中ですよ」

『ご迷惑だとは存じております。ですがやはり、お姉さんの意志を継いで…』

「私に姉などいません!!」


頭にカッと血が昇り、大きな声で叫んでしまった。

オフィスではこちらを見つめ、“なんだ?ケンカか?”などとざわついている。


「とにかく…ボランティアなんてやりません。妹だからって押し付けないで下さい。失礼します」


私は一方的に電話を切った。

梶谷という男はどうして今になって私に近づいてくるんだ。

分からなかった。

私はざわめく周りを気にせずに再びパソコンの前に向かった。

私はこうして毎日を平凡に暮らしていたい。

そして普通に生き、普通に死にたい。

人生にパートナーなど要らない。

最後はみな独りなら、最初から独りの私にもう頼れる“誰か”は必要ない。

そう…思っていた――――





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