お仕置きゲーム。


真咲は俺と智香以外とは基本話さない。常に1人で行動していた。けど、真咲の容姿が整っていることから、クラスメイトは彼と仲良くなろうと近づく。

それをうざいと感じているらしい。昨日の帰り、愚痴っていた。

ある日、真咲が下駄箱の扉を開けた時だった。どさ、と大量の手紙が落ちてくる。「うわー、相変わらず真咲はモテるな!」「...嬉しくない。」「ちょっとはキョーミもてばいいのに!あ、真咲すてちゃだめよ!ちゃんと読まなきゃ!」

手紙を玄関に置いてあるゴミ箱にいれようとしていた真咲を智香が止める。「なら智香にやるよ。」「いらないわよ!ちゃんと、読まなきゃだめ!気持ちがこもってるんだから!」「...ハァ。」

真咲は乱暴にランドセルに手紙をつっこんだ。余裕があったランドセルはぱんぱんになる。


智香はそれを見たあと、靴を履きかえるために自分の下駄箱を開けた。そして表情をしかめて、扉をしめる。

「...智香?靴履き替えないのか?」「え、ああ、ちょっと、」智香は無理やり笑う。「あの、ね。」「うん?」「明日から、あたし、真咲と啓太とは、一緒に帰れない、の。」「は?なんでだよ!」「智香、何かあったのか?」

突然の智香の言葉に、驚く。智香は下手な作り笑いを続けて、「気分よ、気分!」と言った。


真咲は表情をしかめたあと、智香の下駄箱を無言で開けた。「あっ、真咲!」中をみて、俺と真咲は絶句する。

「...なんだよ、これ。」「なんでもないの!」「なんでもないわけないだろ!!」柄にもなく声を張り上げる。智香の下駄箱は土やゴミでぐちゃぐちゃだった。靴の中には画鋲がたくさん入っている。

「智香、イジメにあってるのか?」

真咲が低く問う。智香はたじろぎながら、曖昧に頷いた。「何時から。」「...一か月、前から。」「理由は。」「それはッ、」


智香が言うのをためらう。真咲は「言えよ。」と問い詰めているがなかなか言おうとしない。

「智香、俺達に話してみ?力になるからさ。」

真咲とは反対に優しくそう言えば、智香はじわりと目に涙をためて話し出した。


「ま、さきと、ぐず、啓太と、仲良くしてるからッ、いじめ、られて、て。」

「うん。」

「ブスなのに、2人のッ、傍にいるからッ、て。」

「うん。」

「うぅ、う、うわぁああああん!」


こらえきれなくなった智香は大声で泣いた。すぐ泣くところは何も変わっていない。

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