お仕置きゲーム。

愛しいヒーロー(過去 智香視点)



*智香視点


啓太が、何も言わずに転校した。

ぽつん、と1人だけ残されたような感覚になる。確かに最近、話してなかったけど友達、やめたわけじゃないのに。どうして言ってくれなかったの。寂しさから、心の中で啓太を責めた。

離れて行ったのは啓太からだけど、それを知っておきながら何もしなかったあたしも悪い。イジメがなくなり、友達は増えたけど、寂しいことにはかわりなかった。「ねえ、智香って真咲君と友達なんでしょ?」「えっ、」「私達、真咲君と仲良くなりたいの。ねえ、紹介してー!」「ごめん、もう友達じゃないの。」「え、なにそれ!」「あはは。」

自分て言って、後悔する。全部ウソ、私は友達じゃないなんて思ってない。本当は昔みたいに仲良くしたい。私、保育園のときからずっとずっと真咲を見て来た。大好きだった。美紀も、真咲のことが好きだったみたいで2人でいろいろ語ったのを覚えている。

美紀とは、ライバルでもあり親友でもある。私にはもっていないものを持っていた美紀に私は憧れていた。大好きだった。なのに、なのに。


「...ッ、」

今思えば、あの事件から真咲は可笑しくなった。啓太もどこかぎこちなくなった。気づいておきながら、私は見て見ぬふりをした。深入りするのが怖かったのだ。知らない彼等を知ってしまうのが嫌だった。

(...あたしって、ヒドイやつ)

そう思い、自嘲した。

今更後悔したって、遅いのに。ちいさかったあたしを恨む。過去に戻りたい。





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暫くして、私は5年生になった。クラス替えがあり、私は真咲と一緒なクラスになる。ドクン、と心臓が大きく跳ねた。
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