生意気なハケン君
まさか会社がこんなに早く派遣社員を寄越すなんて。




まぁ、退社する社員の穴埋めは出来るだろうけど、




彼がそれに見合った仕事がきちんとこなせるかどうか……。








考え事をしながら夜道を歩いていくと、漸く自分が住むアパートが見えてきた。





漸く近場までたどり着くと、住人専用のゴミ捨て場に大量の段ボールが捨てられていた。






「……誰か、引っ越ししてきたのかしら?」







段ボールの外紙には引越業者の名前。





日中は大概会社にいるので、

誰がどの部屋に越してきたなんて知る由もない。




だがそれもそれで少し怖かったりもする。





特に女性の独り暮らしは危ないと言われてる昨今。





もし部屋に強盗や見知らぬ男性に入られたりしたら……――。











「私に限ってそんな事ないわよね」






まるで他人事のように、自分にそう言い聞かせる。





そうしないと恐怖に打ち勝つ事が出来ないからだった。









――コツ。







仕事の書類やノートパソコンが入った鞄の中から自宅の鍵を取り出す為、


私はアパートの敷地内で足を止めた。
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