生意気なハケン君
「べっ、別に何にもないわよ……!」







――って何で顔が熱いのよ!?







頬が赤く染まっている事は鏡を見なくてもわかる。




神城にジッと見つめられただけなのに。




それだけなのに……?








私達が歩く国道沿いに面した道には、たくさんのサラリーマンやOLが行き交っていた。





昼時もあってか財布を持つ女性達や、

コンビニ弁当の袋を持った男性達が多く見られる。






その時、自転車に乗った男性が私の前から走ってきたが、


私は一人よそ見をしていてその存在に気付かなかった。




そんな私を見兼ねた神城が……。







――グイッ!


「!」





私の腕を掴み引っ張ると、

そのまま安全なガードレール側の方へ移動させたのだ。






「何……!?」

「自転車にぶつかりますよ?そんなよそ見して歩いてたら」






神城がそう言うと、前からやってきた自転車は何事もなく、神城の横を颯爽と走り去っていった。






「……子供じゃないんだから、しっかり前を向いて歩いて下さいよ」






呆れた口調で小さく一息ついて話す神城を見ると、


無性に恥ずかしくなって顔が更に赤くなる私。
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