さくら色 〜好きです、先輩〜

今、慎ちゃんを目の前にしても絶対言葉が出てこないと思う。

何を話したらいいのかわからない。

再会する前はたくさん聞きたいことあったのに…


それすら今は何も思い出せない。


そんな時、葵が桜井先輩に宣戦布告をした。

あんなに冷たくされたのに先輩の笑顔をもう一度見たい一心で立ち向かっていく葵。


私が初めて見た桜井先輩は瞳に光がなかった。

人形のように表情に感情がなく、何を考えているのかわからない、そんな印象。

だけど、唯一葵が話し掛けると感情が露わになって…

私には葵に助けてほしいってSOSを出しているように感じた。


そして二人で球技大会の練習を始めて数日後、購買で偶然桜井先輩に会った。

葵と話してる時の葵を見る先輩の眼差しは優しかった。

愛おしそうに、慈しむように葵を見て微笑んでいた。




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